人魚のすみか Archive
セックスワークにまつわることバスルーム
- 2011-12-30 (金)
- 人魚のすみか
クリスマスにお客さんから、バスオイルのギフトをもらった。
特別なイベントごとでなくても、プレゼントに入浴剤をもらうことが多い。
女の子への贈り物、という感じがするし、使ってなくなるものをと思ってくれるのだろう。でも普段あまりお風呂まわりにこだわりのなさそうな(タワーマンションに最新の家電と住んでいて、お風呂ものはコンビニで買える商品ばかり)人が、どこでもは売っていないとても凝ったセレクトのものをくれて、不思議に思ってそっときいてみたことがある。
そうしたら「シーナちゃんお風呂が好きそうだから、デパートで店員さんに入浴剤の高くていいやつくださいってきいたらこれが出てきた。」という返事がかえってきた。 風呂場で長いこと遊ぶから、お風呂好きのイメージなんだよね、と。
そうでございましたか。そのときはとてもうれしかった。
BAD girl and BAD disease
- 2011-09-08 (木)
- 泳ぐひとへ
それは昨日のこと。twitterをみていて、暗澹たる気持ちになってしまった。
やりきれなくて、それをtwitterで告白した。
これについていろいろ考えていて、暗澹たる気持ちになってしまった。
http://t.co/1zdP3YY #
リンク先にあるのは、ポケットティッシュのような見た目をした紙だ。尿をつけて色の変化を見ると、尿のpH(酸性とかアルカリ性とか)がわかるのだという。それが何の役に立つかというと、性病の早期発見ができる、らしい。ヤバい菌がいるとアルカリ性になり、中性ならセーフ……そういうことらしい。
いいえそんなわけはない。STDにかかった人は全員おしっこがアルカリ性になるだなんて!ばかげているにもほどがある。
(STDの検査を受けたことのない人は、わたしのうろたえる理由がよくわからないかもしれない。少なくともこれまでにわたしがクラミジアなどの検査を受けた医院・病院(思い出せる範囲で8軒ある)で、尿のpH検査を行ったことは一度もない。綿棒のようなものを使って膣内の分泌物を採取するか、あるいは採血するか、そのどちらかだ。)
だけど商品の説明だけを読むと、まるですばらしいもののようにみえた。病院に行って名前や顔を出すこともなく、自宅で手軽にチェックできて、使い終わったものはお手洗いに流すことができて、そして何よりもとても安価で。いいことづくめだ。
でもそれは、当たり前だけど「信頼に足りるデータが得られるならば」のお話。そうでなければ何の役にも立たない。立たないどころか、もっといやなことが起こってしまう。
ガールズヘルスラボが更新されました
と、いうわけで。 わたしの文章が載っています。
風俗嬢コラム Worker’s Live!! – クラミジアとわたし
今回は「STDにまつわる短いストーリー」を書きたいと思っているので、この文章は100%わたしの体験談というものではなくフィクション成分がだいぶあるのですが、書かれている思いはまぎれもなくわたしの長年抱えているものです。クラミジアをはじめSTDに対する、複雑な思い。
STDは日常的にセックスをする人であればいつでもどこでも感染の可能性があり、それは「予防の対策はいろいろあれど、100%が難しい」という点で風邪やインフルエンザとおなじなのですが、だからといって「風邪ひいちゃってさー」みたいに「クラもらっちゃってさー」とは同業の人間どうしであってもなかなか言えることではありません。
STDにかかる、ということが、人間として劣っている、ふしだらな者であることと同じ意味になる。
接触する相手やその方法を自らの判断と査定で選んでいるとは言えないセックスワーカーの間でさえ、そういう空気は流れているのです。
そしてなぜか、客に対してもそれを告げることは難しい。告げれば「病気を撒き散らし迷惑をかけた」ということになります。そのウイルスが、客から受け取ったものであっても。
ウイルスは人を選びません。人の心を見ません。どんなに誠実な心で、将来にわたって共に過ごすことを前提にして臨んだ性行為であっても、感染する可能性は風俗店で行われるそれと一切変わりありません。
ならば、人生のどんな場面でも「あなたは最後にいつ検査をしましたか?」と訊ね合って結果が印刷された紙を交換してから、ベッドに入るようにしましょうか。
そうでなければ、感染した人を「軽率だ」とは言えないのです。
そんなような、ややこしくも避けて通れないわだかまりを、少しずつ書いて行こうと思っています。
けれどSTDについて考えることは、明るい話題ではなくとも奥の方に自分や他人のからだやいのちについて思いをめぐらせるどこまでも広く自由な大地も広がる可能性が埋まっているように思います。そんなこともどうにか表せたらいいけれど。
またそのうちに更新されるので、よろしくお願いします。
ガールズヘルスラボのオープンによせて
風俗嬢のためのSTD(性感染症)とからだの情報サイト-Girls Health Lab
今年の夏にいちばんうれしかったこと。なにをおいてもこのサイトの誕生です。このことについて書き始めるといつまでも喋りつづけてしまいそうで、まとめられずにいましたが、公開当日の夜、あふれ出る気持ちをぶつけてしまったtwitterのログをここにまとめて残すことにします。
それでも長いのだけど、読んでいただけるとしあわせです。
| RT @tamiyaryoko: ガールズヘルスラボ、オープンしました! http://t.co/gfvRKuA # |
| ついに!待ち遠しかった日がやってきました。わたしも今日初めて見たんだけど、うん。すごい。いいものができた!!!すごいすごい!!やったやったぁ!! http://www.girls-health.jp/ # |
| こういうサイトを作るとタミヤさんから聞い た時、ほんとうにわくわくした。まだ形のないそれを、どれだけの人が待ち望んでいるかがよくわかったから。そして少しだけお手伝いさせてもらえることになって、心からうれしかった。会ったことのない、でも同じ立場の人に、語りかけることができるんだ、と。 # |
| 風俗業界の特殊な部分のひとつに、同業の人や同僚と、意見や情報を交換できる場所が極端に少ないことがあると思う。これまで従事してきた人々のノウハウを知ることができる場所も特にない。それは疑問や迷いや危機に直面したとき、業界内の人に頼ることができない、ということになる。# |
| かといって外の世界に助けを求めるとなると、自分がセックスワーカーであることを明かさなくてはならなくなる。わたしも婦人科で「なぜそんな仕事を?」と医師に言われたことがある。「貴女のような人に来て欲しくない」と看護師に言われた女の子を知っている。もちろん極端な例だと信じたいけれど。 # 全文を読む |
yes, it’s my Shockgyooo-Byooooo.
- 2011-04-09 (土)
- 人魚のすみか
仕事がとても忙しかったり、なにか行き詰まってしまったようなとき、生活のあらゆる場面でそれを連想してしまってピリピリだのゲンナリだのすることが、わりと多くの人にあると思うんだけど。
わたしがこの仕事をしている上でも、特に2、3年目には、しばしば、あった。右も左も分からない状態、からは一歩進んで、そうか自分はこういうふうに仕事したいんだ、という理想はぼんやりと思うのだけどちっとも追いつかず、日々ぶつかるひとつひとつの課題に翻弄され疲弊して小さな傷をいっぱいつけながら模索していたような、そんなとき。
道を行く男性がひとり残らずお客さんのように見える夜……だいぶ大げさな言い方をすると。が、あった。
そうだなあ、経理のお仕事の人が繁忙期のうんと疲れた夜、コンビニでもらったレシートを見てとっさに「ああっそれも入力しなくちゃ」なんて思ったり、そんなようなことってないかしら。きっとそんなようなことなんです。
電車の中で視界に入った男の人の、「この人がお客さんだったら」が一挙に押し寄せてどんどん息が苦しくなっちゃうような瞬間。どんな風にわたしを見て、どんな風に触ってくるだろう。どんなことで気まずくなって、どんなことで落胆されるだろう。あの人とはうまくいかない気がする、あの人は少しはいいだろうか、あの人には絶対につきたくない。
裸体が透けて見えるような気がしてうんざりしたりもして、と書くとまるで神経がすっかり参ってしまっているようだけど、これはもしかしたらわたしの記憶の中にしんしんと積もった統計データのようなものが、そうさせていたのかもしれないな。
似たようなことが、今でも、時々ある。
でも以前と少し違うのは、最近のわたしが「遊びでも、それをすることがある」ということ。
ふと目に入った見知らぬ人のイメージだけをお借りして、もしも仕事で出会ったらどんな時間になるだろうとちょっと想像してみる、というひとりあそびを編み出した。
どんなアプローチをすれば、ほんの少しの気を許してもらえるだろう。もし悪くないと思ってくれたとしたら、わたしのどこを、どんな言葉でほめてくれるだろう。
楽しいと思ってもらえるだろうか。それを、できるだけおめでたく空想してみる。
もしもわたしの頭の中が見えていたら、さぞかし気味がわるいでしょうね。ごめんね。
わたしもきっといろんな人の脳みその中で裸になっているんだろう。そのこと自体は特にいやじゃないよ。空想を空想のままにしていてくれるなら、いくらでもどんなことでもさせてもらってかまわない。
たとえば、襟足の髪のハネ方ひとつで、その近くへシャワーの水流を当てる自分の気持ちを、手の動きを、想像することができるようになった。それは実際に初対面の人の身体にそっとお湯をかけるとき、あのとても緊張する瞬間の、とてもわずかな「足しになってる」ような気が、なんとなくする。ううん、きっと気のせいだね。でもいいんだ、せっかく手に入れたものだもの。
もちろん、悩んで考えをモヨモヨさせて、ああもうこんなわたし誰の前でも服なんて脱げるわけない、もうおとことかおんなとか肉体とかない国に行きたい……なんて煮詰まってくよくよする日も、相変わらずある。確かに、あるんだけど。
少しは、なにかが、変わったのかな。
「業界に染まった」とか、言われるかもしれない。
そんならそれでもいいんだ。今のわたしは、少しはちゃんと息ができている。
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