人魚のすみか Archive

セックスワークにまつわること

恋の練習

そんな1月のこと。
以前書いた、22才の男の子。
本指名で戻ってきてしまった。ううん、うれしいんだけど。

やっぱり2度目もすごく緊張してて、そこへ2度目ならではのへんな恥ずかしさのようなものもたぶん相当あって、余計になかなかしゃべってくれなくて。
しかも最初の20分はやっぱり敬語なのだった。
ふりだしに戻ってしまった、いやむしろマイナスからのスタート? とやきもきしながらなんとか会話をしようとがんばったのだけれど、わたしがひとりでしゃべったどうでもいいようなことに、ただニコニコと言葉ではなく笑顔で相槌をうってもらう、というだけの時間をずいぶん過ごした。

また会えるよね、と指切りをして(ゆ、指切りなんてどれぐらいぶりだろう!!)気疲れ、というか緊張の伝染によりヘトヘトになって戻ったわたしに「今のお客さんになにかされた?」と心配そうに声をかけてくれるスタッフ。

「いえ、すっごくいい子なんです、いい子すぎて消耗しちゃって」
「22才かー。いや、22ってもうちょっとガンガン行ける年だと思うんですけどね、純情って言うか、僕中学生の時でだいたいそんな感じでしたよ。まるで思春期っすね」
「でしょー。なんか、うっかり傷つけたらいけないっていう気持ちになっちゃって……でもかわいいんですよ、こうして任務を離れてみると撫で回してやりたいですよ」
「うーん。いや、でも、のびのびやっていいんじゃないですか? たぶん僕が思うにね、恋なんですよ」

「はぁ!?」

「彼の中では。そりゃ、つきあいたいとか、映画行こうとか、そういうのじゃないけど、その子がいればもう何でもいいやっていう時、そういえば僕もしゃべれなかったですもん。想いは色々あるんだけども、ヘラヘラするしかなかった」
「なんでずっと笑ってるのーっていうと、ちょっと考えて、困った顔して、また笑うんですよ。そいでちっちゃい声で、わかんないけど、うれしいのかな、っていうの」
「うお! なんすかそれ! 可愛いなあー。男にしとくのはもったいねえなあ。見た感じはどんななんです?」
「えーとね、NEWSの山下くんと錦戸くんを抜いて、あとの子たちを、こう、適当な配分で混ぜ合わせて普通の街行く男の子にしました的な。いや、あとの子の顔よくわかんないんだけど」
「……本来若い子に興味ないのがよくわかりました。でもそれつまりかわいいっぽいんですよね? もう男でもいいかも」
「あたしのお客さんにちょっかい出さないでください(笑)」

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22才の笑顔

そんなことを言ってたら本当に来ちゃったじゃんか。


本物の、
22才のお客さんが。
20代前半なんて、月に1~2人くらいしか出会わない(これは店によって、また個人によってかなり変わるポイントだと思う)。


わたしが緊張するのは、いかつい外見の男よりヨチヨチの若い男の子だ。
だって、下手なこと言ったりやったりしたら、一生気にしたり、誤解したり、知らないうちに傷つけたりしちゃうんじゃないかって気が気じゃないから。


もう、ひと目見たときからどーー考えたって若い。わたしより若い。
あああ緊張する!!!!!

部屋のマンガのセレクトも若いし、置いてあるもののセンスも若いし、誰かにもらったんであろう小さなクマのぬいぐるみとかハンガーにかかってる洋服とか、すべてが見事に「ハタチそこそこの男子の部屋」だった。


若くて、それなりの容姿を持ったお客の中には、扱いにくいケースもある。
「どうせ普段臭くて汚いオヤジばかり相手にしてるんだから、オレとヤレるなんてありがたいでしょ」なんていうスタンスで来られたら厄介だ。


でも、この男の子は、なかなか可愛らしい顔立ちをしていて決してモテないタイプではなさそうだったけれど、そんな勘違いもしていなかった。


あいさつして、お金をいただいて、責任の重さが胸に迫った。
40代の3万円と、20代前半の3万円の違いを思ってしまったから。
もちろん、相手が望んでその金額でサービスを受けることを依頼しているのだから、そんなことをわたしたちが気にする必要はこれっぽっちもない。
むしろ、お客の懐事情まであれこれ推測するのは失礼だし、どんなお客様からいただくお金もすべて等しい価値を持つという感覚を持つべきなのだろうと思う。


でも、重たかった。
無防備にテーブルの上に置かれたPORTER(そう、PORTERなんだよ!!マジックテープなのよ!!)の財布から、年輪のないすべすべとした指で取り出され、「よろしくお願いします」と差し出された3枚の紙幣は、重たかった。


ありがとうございます、と収めて、並んで座る。
彼は何も話さなくて、目が合うと恥ずかしそうな笑顔で下を向いてしまった。


「こういうのって、あんまり……呼んだりしないんですか?」
こんな初めの段階で長い沈黙を作るのはよくない。普通ならどのくらい風俗遊びするんデスカなんて野暮ったい質問はめったにしないけど、今はとにかくコミュニケーションを取らなくちゃ、とわたしはあせっていた。


「もう、あの、全然。こういうの、初めてで、わかんなくて。」
下を向いたままで、ちょっと微笑んだ顔のままで、答えてくれた。
ぎこちない会話をもう少しして、わたしが言った。そりゃもう、つとめて笑顔で。
「こんな若い人のおうち来たことないから、すごい緊張しちゃいます……だって、あの、20代前半、とか、ですよね?」
「はい。22才です。」
やっぱり若いよ!! とショックを受け、でも次の瞬間に間髪いれずに
「そうなんだ、じゃあ一緒だね、わたしも今22なの。」とにっこり言ってしまった自分の図太さよ! くらくらした(だけど同い年ならそこでそう言うのが自然だよね? と脳みそが忙しく働いた結果なのだ)。

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きかないでほしい、ひとつめのこと

ときどき、自分の本当の年齢が、わからなくなる。
いくつ?
もちろん、一瞬で思い出す。


でも、なんだか感覚としてはもっとコドモ……5才くらいは下のように感じてしまう。
背が低くて化粧が薄いせいで、見た目だけだとそのくらいに思われることばかり、ということだけではなくて、どう考えても自分が実年齢に見合う大人だとは思えない。

わたしたちは、源氏名とセットで「源氏年齢」を持っている。今のお店は本当に若い子も多いから、たぶん平均でマイナス2~3才、じゃないかな。
ハタチまではたいていそのまま出ているし、いちばん年上のコは30ちょっとで、店ではたぶん25才くらいだ。
吉原のお姉さんなら10コ下に言うことも全然めずらしくないみたい。


たまに、お客さんにしつこく「本当はいくつなの~?」と問いただされることがある。特に制服を着るようなイメクラにいた時期は、けっこう、あった。
仕方がないので、「本当は23なんだけど、お店から21ってことにさせてくれって言われたの」とかなんとか言っておく(あなただけ特別に教えちゃうんだからね?的な口調が大切ですね)と、たいていは満足げになるほどと頷いて、おとなしくなる。
そして「ねえねえ~それじゃあ俺っていくつに見えるぅ~?」と大迷惑クイズが始まることも少なくないけど。

年齢なんて20でも25でも同じじゃないか、と思う人だっていっぱいいるって分かってる。
だけど、ズラリと並んだ女の子のプロフィールを前にして今夜の相手を慎重に吟味しているときには、「22でも27でも同じじゃないか」なんてとても思わない場合がある、というのも、知っている。
1つ2つの歳にこだわるなんてばかげている、ということもちゃんと分かっている。
だけど、「25過ぎたらオンナに価値なんてないもんね、4と5の差は大きいよ、君もせいぜい若いうちに遊びなさい」と本気で話す客をこの目で見たことも、ある。

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しんどいことあるやろうけど

関西弁のお客は苦手、という子がけっこういる。
なんとなく、わかる。言葉がいや、ということではなくて、大阪のパワフルなオバちゃんがそのまま男性になったタイプと言えばいいか、そういう人が次々に過剰な要求を、しかも何食わぬ顔でずうずうしくしてくることがたまにあるのだ。
関西弁でどんどん押されると、標準語でそうされるよりも格段にペースを崩されてしまうのはなんでなんだろう、くやしい。

この状況でなければむしろ頼もしいんだけどなあ、と思いながら、ごめんねそれはできないの、とやんわりきっぱり断ると、次の言葉はもう絶対に「なんで、ええやんええやん」だ。

よくないっちゅーねん。


なので、ホテルに呼んだそのお客に「おー、よう来たなあ! ねーちゃんかわええやん」とニヤニヤ言われたときは身構えてしまった。
さらにそいつはソファに押し倒して服の上からベタベタと触りはじめたので、うわー、シャワーも浴びずにがっつくタイプだったらどうしよう、といよいよ不安になったころ、急に身体を離された。あれ?

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ローションのうわさ

ずっと前から気になっていること。
1)「ローションは毛穴に詰まる」は、本当なのかどうか。
そして、
2)「ローションは膣内に残る」は、本当なのかどうか(こっちのほうがよりおそろしいよね)。
女の子と話をすると、そうそう、そういう風に言うよね! とはみんな共通の認識があるんだけど、でも、本当はどうなのかわからない、もしかしたらただのウワサなの? というのもみんな一緒。
教えて!google先生! と思って「ローション 毛穴 詰まる」で検索すると、続々と出てくるのは思ったとおり小鼻の毛穴ケア商品についての情報なのでした(あと抜け毛の話と)。
思春期の乙女たちよ、決して爪で押し出すべからず。

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